19年度予算案への要望書全文 06/11/16

平成18年11月16日

長野県知事 村井 仁 様

長野県平成19年度の施策、及び予算編成に対する提言・要望

長野県議会 あおぞら 代表 北山早苗
林  奉文
宮川速雄

 

 日頃は、県政発展のためにご尽力頂き、感謝申し上げます。
 会派「あおぞら」は、無駄な大型公共事業を削減して財政の再建を行いつつ、環境・福祉・教育施策の優先と、更なる県民益をもたらす改革を進めるために、県民の目線に立った提言を行って来ました。また、環境問題に軸足をおいて、県内外の各地を現地調査するとともに、その地域の住民の皆さんのご意見を直接伺い、議会の度に一般質問や委員会で質問して来た課題を中心に、提言、要望をまとめました。
 平成19年度の施策、及び予算編成に反映されますよう、要望いたします。


<重点項目について>

  1. できうる限りダムによらない治水・利水対策を進める。
    • 浅川ダム、又は、河道内遊水池(実質はダム)が計画された場所は、地質的に最も不適な所です。ダム軸に指定された山の斜面は、地下の活断層との影響が懸念される線上凹地や大窪地が走り、ダム湖になる場所は両岸が地滑り地帯、活断層も地表から確認されています(別紙資料1)。地滑りの巣であったり、善光寺地震(1847年)の震源地にも近い活断層のあるような場所に、ダムをつくることは、すぐ下流域に広がる長野市街地に住む住民を危険にさらす可能性があります。将来に禍根を残すようなことは、避けるべきです。
       
    • 浅川を始め、諮問9河川のダム計画において、流域協議会の中で「基本高水流量の値が高すぎるのではないか」という声があり、高水協議会が設置されました。今年8月の中間報告では、基本高水の再検証の必要性が、さまざまなデータを基に述べられています。従来のダム計画が、高すぎる基本高水の基につくられたものである可能性があるため、砥川方式のように当面20年間の安全度を確保するための河川整備計画でもって国に認可を求め、その間に基本高水の再検証を行うことが、最も堅実な道ではないでしょうか。またその際、「基本高水を再検証して、仮に値を下げたとしても、治水安全度を下げることにはならない」と、住民に良く説明し理解を求めるようにするべきです。
       
    • 「緑のダム」政策を推進すること。
       
  2. 自然体験型の環境教育を進める。
    • 兵庫県丹波市の旧市島町では、幼児期から自然の中での遊びや自然体験を通して、人もまた自然の一部であることを学び、自然を愛でる心を育む環境教育を、15年間進めて来ています。これは、スウェーデンで40年も前から行われ、国民の間に浸透して来た、野外での自然体験保育(森のムッレ教室)を日本に紹介した高見豊さんが、保育園の先生方と一緒に取り組んで来ました。保育園の先生は、「続ければ、自然を守ることが子どもにとって当たり前のことになり、小学生や大人になっても、崇高なもの、大切なものとして記憶の中で続いていく」と話されました。教育現場での環境教育は、省エネやゴミのリサイクルなどある一面にスポットを当てたものになりがちですが、本来は旧市島町のような息の長い取り組みが必要です。ぜひ、自然環境に恵まれた長野県の子どもたちが、全員、自然体験型の環境教育を受けられる仕組みを創るべきです。
       
    • 滋賀県では、前知事の肝いりで、自然体験型の環境教育を進めてきました。教育委員会に働きかけての『幼稚園や保育園の先生のムッレ教室体験研修』を始め、学校の先生たちが環境教育を行う際にサポート役を果たしているのが、滋賀県琵琶湖環境部エコライフ推進課です。ここの環境学習支援センターでは、各地域で行われて来た滋賀県民の環境への取り組みを、こどもの教育に生かせるよう紹介し、県内に広げる橋渡しやコーディネーター役をやっています(別紙資料2)。滋賀県の取り組みを参考にして、県民の力や地域の宝を活かす環境教育の推進を進めていただきたい。(長野県生活環境部・地球環境課に説明したところ、関心を示してくれています。ぜひ、知事からのバックアップをお願いします。)
       
  3. 筋ジスや筋無力症など神経難病の方々の療養施設を、県内につくる。
    • 神経難病の方々の療養施設が県内にはなく、三重県や新潟県の(旧国立病院の)筋ジス専門病棟に入所されている実情があります。親が入所先に通うのも大変な負担ですが、独立行政法人化されてからは月に2、3度と呼び出される頻度も増えて来ました。障害者の中でも狭間におかれた本当に少数の方々に光を当てることは、後回しにされて来たのではないでしょうか。県内に神経難病の療養施設をつくることは、喫緊の課題であり、前県政で、議会答弁に於いて実施の方向が明示されています(別紙資料3)。
       
    • これまでの法制度では、筋ジス専門病棟でないと療養のための措置費が支給されませんでしたが、新自立支援法のもとでは介護保険での支給となり、他の施設に入所しても療養費が支給されることになりました。そこで、長野県内にある重度心身障害者(児)の療養施設の内、中信松本病院では建物の改築に合わせて神経難病療養施設の併設を、考えてみても良いと言っています。しかし、独立行政法人化で経営状況も厳しい中独自で施設を建設・整備することは不可能です。そこで、県として支援策をとっていただくよう、要望します。
       
    • 中信松本病院では重心の療養棟の老朽化も進み、狭い所にものの言えぬ障がい者の皆さんが、暮らしています。こども病院に現在入院している重心の子どもたちなどの将来を考えた時にも、中信松本病院・療養棟の改築は、長野県にとって喫緊の課題であり、良い意味での公共事業として、県民の理解を得られるものと考えます。また改築にあたっての財政的支援を、県として国に要望する必要もあります。
       
  4. 学校や集団に不適応症状を示している子どもたちのケアの充実を。
    • 不登校や、自閉症や発達障害などで学校や集団に不適応症状を示している子どもたちは、益々増加しています。中間教室や学校にある相談(教)室が、籍のある学級に行けない子どもたちなどの居場所や人間形成の場になっており、これら全ての教室に、常時の指導員や支援員の配置が必要不可欠です。市町村と連携をとりながら、常時配置の体制をとるべきです。
       
    • 本来は、相談(教)室を一学級と見なして教員を配置するべきです。しかし、財政的に難しいのであれば、こどもほっとサポート制度を充実させることです。障がいをもつ子どもたちや外国籍の子どもたちの支援だけではなく、ほっとサポーターが、相談室で不登校の子どもたちの支援をしている学校もあります。また、自律支援学級に於いても、国基準の教員配置が8人に1人という不適切な中で、ほっとサポーターによる補完が必要です。これら集団に不適応症状を示している子どもたちを支援するためには、一校に複数名のほっとサポーターの配置が必要不可欠です。
       
    • スクールカウンセラーの一校一名の配置、700名以上の学校への養護教諭複数配置を。これらの方々の存在が、子どもや親の拠り所として必要です。
       
  5. 引き続き、財政の健全化を行うこと。
    • 「あおぞら」で行った県民アンケートでは、村井知事に継続・発展を望む最も要望の強かった案件は、財政の健全化でした。9月県議会に於いて繰り返し答弁された「新たな県債発行額は、元金償還額の範囲内に留める」ことを厳守し、将来につけを残さないよう、財政の健全化を行っていただきたい。
       
    • 不要不急の公共事業は行わないこと。
       
    • 県職員の給与についても見直しを行うとともに、報酬等審議会を設置し、県議や理事者の報酬・歳費の適正化を図ること。
       
  6. 現場主義を徹底し、住民の声を施策に反映させる仕組みをつくること。
    • 知事が長野詣でを禁止し、直接、市町村や現場に出向き要望を聞きたいとしたことを評価します。ぜひ、知事自らによる現場主義の他に、職員にも現場主義の徹底をお願いしたい。住民の生活現場に足を運び、自分の目で見て話を聞くことから、問題解決の糸口をみつけることは、一般の会社ではあたりまえに行われていることです。現場でつかんだことを政策として実現したいという熱意ある職員を育成すると共に、彼らが働きやすい職場環境を、知事としてつくっていただきたい。
       
  7. 県政の透明化に努め、徹底した情報開示を行うこと。
    • 部長会議や各種審議会など政策決定に関わる重要な会議の議事録は、県ホームページに全面公開すること。併せて、視覚障がい者にとっては大変重要な音声での公開も行うこと。
       
    • 過去の県政の記録を保存し、検索できるようにすることは、県民の知る権利を保証する上で大変重要であり、Web上での再公開を望みます。

<福祉、医療、教育施策について>

  1. 前県政で行われてきた、これまでの福祉、医療、教育施策について継続し、更に発展させること。
  2. 介護保険法・障害者自立支援法の改善策を政府に求めるとともに、市町村と協同して独自の支援策を行うこと。
  3. 高齢化に鑑み、地域要望に添って宅幼老所の増設を引き続き行うこと。
  4. 障害者(児)のみならず、在宅高齢者に対しても、家族を支援するためのヘルパーを無料派遣するタイムケア制度を行うこと。
  5. こども病院の救急医療一般開放について、安曇地域の医師会と連携しながら進めること。
  6. 医師の確保、特に産科医の確保に力を入れること。
  7. ドクターヘリをもう一機、南信に配置し、全県をカバーできる救命救急体制の整備を行うこと。
  8. 「学習習慣形成支援事業」では、2学級に1名の教員を配置すること。
  9. 「自由保育」を行っている保育所に対して、市町村と協同して県独自の予算措置による支援を行うこと。
  10. 幼保一元化教育の進展に伴い、長野県福祉大学校に幼児教育コースを新設する、または、県短大に保育士が幼稚園教諭資格を取得出来るよう通信教育課程を設置すること。

<環境、農業、林業施策について>

  1. 廃棄物の発生を徹底して抑制し、廃棄物の再使用・資源化及び適正処理を行い、廃棄物に起因する環境負荷をできる限り低減すること等により、自然環境及び生活環境の破壊・汚染の防止を図り、良好で豊かな環境を保全するとともに、県民の健康及び安全で快適な生活確保に寄与することを目的とする「廃棄物条例」を、早期に提案すること。
  2. 県内の一般廃棄物、産業廃棄物の過去の処分場について、市町村と協力して調査し、問題ある処分場を再生し、新たな処分場はできる限りつくらないこと。
  3. 不法投棄等によって汚染された地域の環境復元について、投棄行為者の責任のみならず、排出事業者等にも範囲を広げて解決する仕組みをつくること。
  4. 山岳環境保全のために、県内全ての山小屋トイレの浄化策への支援を強化すること。
  5. 山小屋でのディーゼルエンジンによる発電をやめ、騒音・排気ガス対策として、小型風力・水力・太陽光発電など、自然エネルギーへの転換を図るための支援策を講じること。
  6. 県内山間部の大型風力発電建設については、県の示したガイドラインに沿って、自然保護・景観保全を充分考慮し、関係住民の合意を前提にして、建設事業者への指導と助言を行うこと。
  7. 生活環境部、土木部、農政部一元化による諏訪湖浄化対策を推進するために、諏訪湖事務所の充実を図ること。
  8. 優良農地を保全するために、堆肥の施用量を定めるガイドラインもしくは、条例を速やかに制定すること。
  9. 食料の輸入拡大政策を転換し、自給政策の確立を政府に強く要望すること。
  10. 品目横断的経営安定対策の推進にあたっては、大規模農業の育成に留まらず、本県農業を支えている「兼業農家」への支援策をも強めること。
  11. 地産地消の観点から、学校給食での「米粉パン」を、県内全ての小中学校へ普及すること。
  12. 自然災害対策の観点からも、間伐の促進など山林整備予算を増額すること。
  13. 県産材活用促進のため、建築物の県産材使用への補助、県産材の国内・海外販路の開拓、木製ガードレールの普及など、活用促進政策を強化すること。
  14. ペレットストーブを全ての学校へ普及するとともに、個人への補助策を継続すること。
  15. 飯山堆肥センター周辺のカイガラムシ等による山枯れについて、その原因究明と対策を行うこと。

<土木施策について>

  1. 談合体質を除去するため、受注希望型競争入札制度における4ブロック制を堅持すること。
  2. 下請け、孫請け、ひ孫受けに甘んずることなく意欲ある業者を育成するために、参加希望型競争入札制度を維持すること
  3. 新たな道路より、既存生活道路の維持管理や改良に力を入れること。また、そのために必要な「補助制度の改革」を国に求めること。
    • 過去の計画を踏襲するのではなく、時代や地域の実情にあった道路整備を行うべきです。例えば、松本糸魚川連絡道路は、多くの安曇野市民や大北地域住民が、「豊科インター付近を起点、現道改良、北の方は必要に応じ高規格で」という整備を望んでいます。これは、今困っている問題を解決するための現実的な選択肢です。また、波田起点では、安曇野山麓田園地帯の望まれる観光地としてのあり方に反します。安曇野は、豊かな自然環境や美しい景観を活かした、滞在型観光地に相応しい道路整備が望まれています。観光客へのアンケート調査によると、二つの国営公園間を高規格道路で走り抜けるのではなく、自家用車を置きサイクリングする、低公害バスなども利用しながら散策したいということで、この秋に国営アルプスあずみの公園で行われたイベントが良い事例です(別紙資料4)。
       
    • 主要道路の右折レーンのない交差点改良を行う。これだけで、車の流れは随分スムースになります。渋滞交差点の改良を先行整備することで国庫補助の認可をとっている和歌山県の事例(別紙資料5)を参考にしてください。またこれを、県道だけでなく国道や市町村道に広げるよう、国に補助制度のあり方の改善を求めるべきです。

<商工業施策について>

  1. ベンチャー、及び中小・零細企業の支援策は、商品開発から製造・販売まで一貫して行うこと。
  2. 大型店舗の誘致に対して規制をし、既存の商店街を守ること。

<その他>

  1. 県による合併の強要ではなく、むしろ、自律を選んだ小さな町村の支援策の充実を。県職員の複数派遣や、地域振興局体制の強化を行うこと。
  2. コモンズ支援金などによる、地域や住民が主体となって行う事業への更なる支援の充実を。特に、市町村を通して申し込む枠とは別途に、地域の住民団体やNPOなどが直接県に申し込めるような枠を設けること。ここに、県が事業支援をする意味があるはず。
  3. 禁煙施策の後退は、世界の流れに逆行するものです。前県政の禁煙施策を継続し、発展させること。