『自然エネルギーとドイツ市民、長野県の地球温暖化防止政策と条例』
あおぞら 北山早苗
<フライブルグ市民の高い環境意識は、森を守る市民の運動から>
須坂新聞での紹介記事(アクロバットPDFファイル)
フライブルグ市在住の今泉みね子さんのお宅に伺った。(写真1、写真2)レクチャーを受けた際、フライブルグ市民が、なぜ環境を守る意識が強いのか、その歴史を教えてもらった。
フライブルグの東側に広がる黒い森はもとはナラやカエデなどの広葉樹の森だった。中世以降に原生林をすべて切ってしまい、そこにドイツトウヒやダグラスモミなどの針葉樹を植林してできた森だ。
ところが、西側の国境沿いのアウトバーン(高速道路)の排気ガスや、ディーゼルトラックから出る窒素酸化物が風に乗ってやって来て、山に囲まれた土地の700m上空にたまり、大気汚染がひどくなり、降って来た酸性雨で、1970年代終り〜80年代初めに黒い森の木が一斉に枯れてしまった。もともとの植生の森ではなかったということも、森林被害に関係している。
フライブルクなどでは中世のお城も市民がお金を出し、継ぎ足していったというように、昔から市民の力が強かったところと言われ、森を守る市民の運動が広がった。これは、もともとゲルマン民族は森が好きということと、森が観光資源だったことにもよる。この運動は、環境を守る運動につながり、緑の党の基にもなった。
家計に於いても、税金の使い方という点に於いても、ドイツ市民はお金を環境保全に投資したいという意識が強いと感じる。
たとえば、フライブルクでは、補助金を出して農業を援助し、放牧地の景観を守ることを新しい公共事業として行っている。また、そこで作られたエコロジーに配慮した肉やチーズは観光客に出されたり地元で消費される。そのためには、大きな旅行会社やホテルは入れないなど、地元資本で観光をまかなうようにしている。
またフライブルグでは、1970年には街中の車の乗り入れ規制も行い、歩行者ゾーンが街の真ん中にあり、メインストリートは自転車さえも押して歩くことになっている。
車の乗り入れ禁止区域は600m四方に広がっている。(写真3、写真4)
また、公共交通機関を行政が補助し、利用が進むようにしている。自動車のための新たな道路を造る場合も赤字なので、自動車利用を減らすためには、公共交通機関の赤字補填として補助金を出しても良いと言う考え方だ。
補助金は、レギオカルテという定期券などに使われている(写真5)。誰もが使える定期券なので、泊まったホテルでお金を払えば貸してくれる。このような定期券はスイスのバーゼルで考えられたもの。水道・電気など市営企業と公共交通機関の企業が一緒になって一つの企業体をつくり、どちらかで、peyできれば良いという考え方で運営されている。
観光客用に24時間チケットもあるが、チケットを持っているかをチェックされるという事もなく、実におおらか。
ズルをする人が多少いても、切符を売る職員がいらなくなるので人件費も抑えられるなど、全体としてpeyできれば良いという考え方のもとに、交通政策がなされている。
これはスーパーでも同じ。ドイツには野菜等のバラ売りスーパーが沢山あり、自分で測って値段のシールを貼りレジへ持って行く。ごまかす人が多少いるかもしれないが、人を雇うより安いという考えだ。(写真6)
人を信用し、また、細かい事だけでなく、全体からも見ることで、合理的に判断するのは、大陸的な発想なのかなと感じた。
フライブルグ市役所は、車通勤をする人からお金をとり、レギオカルテを使う人に補助したり、駐車場は、建物に遠い方から1人乗りで車で来る人、相乗りで来る人、自転車の駐輪場が建物の一番近くとなっていて、自転車通勤が優遇されている。(写真7)
このように、できるだけ自転車や公共交通機関の利用を進め、車を使わせない仕組みにした結果、フライブルグでは、車の利用率が1976年には60%だったのが、1997年には43%に減った。車の所有台数は増えているが、車を使わない。
フライブルグ市民は弁護士や医者なども多く、お金はあっても使わない。緑の党への支持率は40%もあり、環境に対する意識が強く、有機農業の野菜を高くても買うなど、お金は大事なところに使うという意識が強い。
このように、家計でも税金でも、ドイツ市民は環境保全に投資したいという意識が強い。
しかし、悩みもある。ドイツでは、様々な取り組みでやれる事はやってしまった為、最近ではかえって若い人たちの環境意識が低くなってきているのが問題だと、今泉さんは言っていた。
<サッカー場のソーラーシステムの取り組みも、原発計画反対運動から始まった>
フライブルグでは、屋根の上に一面にソーラーパネルが並んでいるサッカー場のソーラーシステムを視察した。(写真8、写真9)
説明してくれたのはフェーザ(fesa)という、企業などに働きかけたりしながら、ソーラーなど再生可能エネルギーを地域に普及させる市民団体NGOの職員だ。
観戦席屋上のソーラーシステムで発電された電気は、直流から交流に変換し公共の配線に組み込まれる。
このシステムをつくったきっかけは、25〜27年前に30Kmはなれたところの、ライン川沿いのディールというフランスとの国境近くの村に原発計画がもち上がったことだ。
フライブルグ市民はこれに反対運動をしたが、抵抗するだけでなく代替案を出そうと考え、市民によるソーラーシステムが作られた。当時は他にこのようなシステムはなかったため、市民が自分たちでつくった。
そのため、ソーラーの研究所もこの地域にあり、ソーラーメッセという見本市も毎年開かれている。
ソーラーモジュールをつくっている会社もある。フライブルクはソーラーの町といわれるが、いくつもの積み重ねで発展してきた。
しかしフライブルグのあるバーデン=ヴェルデンベルク州の知事は原発大賛成。フランスでも原発を新しく作る法律ができた。フライブルグから60kmのフランスとドイツとの国境には、フランスの原発があり、ひびが入ったり問題がたくさんある。
そこで、自然エネルギーの大切さを理解してもらうために、環境NGOが活動している。
ドイツで自然エネルギーの普及が進んでいる背景には、買取り価格の仕組みにある。
売電価格に比べて、自然エネルギーの買い取り価格は高い。その負担は、法律で決められていて、全部の電力会社で割り振って負担している。負担金は電気料金の中に含まれていて、国民は1セント/kwぐらいは自然エネルギーのために高く払っている。こうやって国民全員で負担している。
日本の自然エネルギーの買い取り価格は、悲惨。独占企業として自分の会社を守りたい電力会社に買い叩かれている。これに対して、自然エネルギ−の電気を、売電価格より高く買い取り、それを国民全員で負担するドイツの仕組みは、自然エネルギーを取り入れても、経済的に見合う仕組みになっている。
日本にはすばらしい技術力あるのに、CO2削減も、廃棄物対策も少しも進歩しないのは、日本の企業優先社会に原因がある。でも、政治が悪いと言っていたら、始まらない。ドイツの仕組みも、始めからあったわけではない。持続可能な社会を願う市民の力によるものだ。
<世界で一番環境に優しいビクトリアホテルの環境対策、支配人はかつて原発反対運動に参加していた>
フライブルグでの宿泊先、ビクトリアホテルの支配人シュベートさんに話を聞いた。ビクトリアホテルは世界で一番環境に優しいホテルとして、ロンドンで賞を受けた。130年前に建てられた、歴史のあるホテルだが、18年前に親の代からシュベートさんに引き継がれた時に、環境対策を始めた。(写真10)
シュベートさんは、学生時代に、ディール原発計画への市民の反対運動があった際に反対運動をした。それが環境に取り組むホテルを目指そうと考えたきっかけ。環境に配慮したホテルは、いまでこそ客に良いイメージとして受け入れてもらっているが、18年前はマイナスイメージを与える恐れがあり、こっそりやっていたそうだ。
ビクトリアホテルの環境対策は3分野に分けて行われている。
まずは、省エネ。
たとえば、暖房にサーモスタットを付け、洗濯や食器洗いには余熱で沸かしたお湯を使い、ミニバーには制御装置、省エネランプ、廊下やガレージにはセンサー付きランプにし、全体で30%の使用電力の削減になった。滞在客のタオルは毎日取り替えない、バスタブはなくシャワーのみ。(写真11、写真12)
省エネで心がけている事は、ホテルの贅沢感を失うことなく進めるように配慮すること。
お客に環境に配慮したホテルであることをどのように思うか、アンケートをとったことがあるが、90%の客は良いと答えた。しかし環境に配慮するためにお金を余分に払っても良いと答えた客はいない。だから、大切なお客に窮屈な思いをさせずに、省エネを行うことが大事だ。
二つ目に、自然エネルギーでまかなうこと。
ホテル屋上にソーラーパネルを置き、全体の必要電気量の7〜8%をまかなっている(写真13)。ほかに必要な全ての電気は、エーデンハイムにある風力発電に6万ユーロ(約840万円)を出資し、それでまかなっている。
ホテル屋上にはソーラー温水器があり、また地下には木材チップのペレットを原料に使う暖房機がある。 ペレットには、黒い森を剪定した時に出るゴミや倒木を使っている。このようにすればドイツ全体の森で、国内の30%の暖房がまかなえるそうだ。
三つ目に、地産地消。
ホテルで出す食材は地元の安心出来るものを使っていること。卵、ハム、ソーセージ、チーズなど全て地元産。生産者と知り合い分けてもらっている。全てオーガニックのもので、鶏、豚など全て放し飼い、きちんとした飼料を与えたもの。(写真14、写真15)
ホテルの部屋の素材も大理石や木材など長持ちするものを用いている。木材に塗っているオイルは自然のもの、水に分解するものを使っている。
オーガニックのものを使う事で、10〜15%コストが余分にかかるが、省エネ対策でその費用を出している。
環境対策のために、大掛かりに変える事は難しいが、出来る事を自分の範囲でやり、それを回りにわかってもらう事が大切。環境保護の問題は、グローバルな問題なので、皆でやって行く事が大事だと支配人は話していた。
原発への反対運動がきっかけだと言うが、ただ反対を唱えるだけでなく、このような実践的で地道な取り組みをコツコツやっている姿が、素晴らしいなと感じた。
サッカー場のソーラーシステムがつくられた経緯も、原発計画に対して抵抗するだけでなく代替案を出そうと考えたことがきっかけ、長野ソフトエネルギー研究室の前身、市民エネルギー研究室も、原発をただ反対するのではなく、代替エネルギーとして自然エネルギーの普及を進めようと言う発想からつくられたとお聞きした。こういう取り組みが大事と感じる。
<自然保護の実践的活動や政治的活動を行うNGOのBUND(自然保護同盟)、ドイツの環境団体の規模は、日本とは桁違い>
フライブルグ市内にあるBUND(自然保護同盟)の事務所を訪ずれ、職員の話を聞いた。
BUNDは37万5千人の会員がいる。100km四方に約10000人規模の会員がいて、40の地域グループがあり、それぞれの地域で自然保護や政治的活動を、独自にやっている。
地域ではまかないきれないことを、シュトゥットガルトにある州レベルでのBUND事務所や、ベルリンにある国レベルのBUND事務所が担当していて、それぞれの行政や政府に働きかけている。
また、世界的団体のフレンド・オブ・アースにも属し、グローバルな活動も行っている。
BUNDはNGOなので殆どが会費と寄付で運営されているが、実際には運営はお金がなく大変。フライブルグでは、事務の仕事をする人が一人、兵役拒否で手伝っている人が二人いる。会員の中の代表が仕事の様子を管理している。(写真16、写真17)
活動内容は、川の浄化や原発反対運動、ゴミのポイ捨て禁止運動などの目立つ仕事と、地味な相談の仕事があり、表に見える活動は10%、殆どが相談などの地味な活動。
BUNDは30年前に設立されたが、大きな化学工場による、ワインへの被害の心配から起きた反対運動や、原発への反対運動がきっかけとなり、持続可能な環境保護の関心が高まり、政治的な働きかけが大事ということで、生まれた団体。
ドイツの環境団体の大きさは、日本に比べると桁違い。政治的圧力にもなっている。しかし、その事務所は質素で、活動も派手ではなく、地道なもの。ドイツの自治や民主主義の歴史を感じる。
<ハノーファーで、緑の党の州議員と意見交換。原発廃止政策には更に市民の声を強める事が必要、CO2削減も市民の世論で産業界を変えて行く必要がある>
ハノーファーにある、ニーダーザクセン州議員・緑の党事務所で、議員のエド・ハゲナーさんと意見交換した。(写真18、写真19)
エドさんは、6年前から州議員。緑の党の州議員は14人で、社会民主党と連合を組んでいるが、野党である。
緑の党は、自然守る、借金をやめる、少子化に向け年金等の社会福祉システムを変えることで、持続可能な社会をつくろうとをめざしている。そこで、3つの柱(環境保護、男女同権、少数派の保護)を基本に、経済や交通政策に取り組むことで、既存の政治とは違う政策を実行しようとしている。
ドイツ市民からの質問に「緑の党は反原発運動から始まり、25年経つが、原発を止めるための時間がかかり過ぎではないか?」というものがあった。
エド議員は「ドイツでは、エネルギー不足の心配から、他国からのエネルギー面での独立を勝ち取るために原発政策が発展して来たが、これに対して、25年前に各地の反原発運動が集合して緑の党が結成され、その後、20年間新しい原発は出来ていない。これは運動の成果。反原発は、チェルノブイリの影響もあり社会に根付いてきており、市民の大多数は原発反対である。しかし、キリスト教民主同盟などは原発推進派。
現在のドイツ連邦では、反原発派の社会民主党が政権を握っているが、廃原発を決定するのは大変だった。1999年に、20年後には原発を止める事に電力会社も同意はしたが、経済的政治的闘争は今でもあり、電力会社からは訴訟の形で圧力をかけられている。京都議定書にあるCO2の削減も、別のエネルギーを見つける事が難しく、保守政党は原発をCO2がでない環境に優しいエネルギーと言って、また原発政策を始めようとし、新しい原発を作ろうとする計画もある。もし、政権交代があれば、ひっくり返される可能性がある。市民団体が働きかけ、市民の反対という意見を高める事が大事だ。」と答えていた。
また、日本市民からは「日本では企業が目先のことばかりを考える、これを変えるには?日本ではCO2の削減が進まず、2010年までに1990年比-6%と京都議定書にあるのに、実際には+6%になっている」という質問があった。
エド議員は「企業に対してモラル的に訴えてもダメ、経済的にみ合うシステムをつくれば、産業界もその気になってやるはず。一つの分野で、全ての企業に同じ条件を与えれば競い合ってやる。例えばドイツでは、CO2の排出量は企業に割り当てられているが、排出量削減をお金に換算して扱えば、企業間でやりとりもできる。このような仕組みがあれば、CO2削減が経済的に価値のあるものになり、CO2を削減しないと高くつく、また、削減した権利を高く売れるようになるため、企業は削減に励む。
また、人々の大多数の世論をつくる必要がある。産業界がCO2削減に積極的に取り組むことが、とても大事であり、産業界は市民の大多数に従うものだ。
また、一般の人々が受け入れ安いようにすることも大事で、例えば、家庭の暖房エネルギーを減らすには、断熱効果のある住宅を造る、それには、断熱効果のある家を建てた場合には安い借り入れ制度があり、長い目で見れば節約になるという仕組みが大事」と答えていた。
<長野県の地球温暖化防止政策と条例。県民、県内企業を巻き込んだ取り組みが必要>
長野県の地球温暖化防止に向けた取り組みは、地球環境課からいただいて来たパンフを見ていただくとわかる。
その取り組みは、ハード面とソフト面の大きく二つに分かれる。
ハード面では、土木部には木製ガードレール、林務部には森林整備、農政部にはバイオマス事業、教育委員会には県産材を使った稲荷山養護の建設等、県の各機関等に対して事業化してもらうという形で進めている。省エネ住宅の融資制度等も、住宅部が予算化している。
ソフト面では、地球温暖化対策地域協議会が地域の推進者として、県民や企業、団体と一緒に温暖化防止対策の推進や啓蒙活動にあったっている。なかでも、地球温暖化防止活動推進員に地域のリーダーとなって進めてもらっている。その為の、推進員研修会等が開かれている。
また、県は、地球温暖化対策地域協議会を支援する地球温暖化防止活動推進センターに、県環境保全研究所を指定した。
これまでのソフト面での取り組みは、主に国の施策基づいているもので、更に長野県独自のソフト面での取り組みを進める為に、長野県地球温暖化防止条例をつくる必要があると考える。
県は5月30日に条例検討委員会(長野県環境審議会・地球温暖化対策検討会)を立ち上げた。今年12月までに条例案をまとめ、来年2月には県議会に上程する予定。
京都議定書が通ったので国の法整備が進むので、それを見ながら、調整する必要があるが、県民計画の中で、規制の必要なものは何か、誰がいつまでにどのくらいCO2を削減するというように、具体的に条例で定めて行く予定。
先日22日に開かれた検討委員会を傍聴した。
諏訪委員から条例に向けた意見が資料として提出されたので、少し紹介したい。
「誰がやるかを明確化し、目標を数値化する必要性」「県民を含めた第3者機関による進行状況の評価の必要性」「規制であるハードアプローチと、非規制的なソフトアプローチを組み合わせる必要性‥‥例えば、大口電力利用者へのグリーン料金調達義務付けには税の減免措置と抱き合わせる、事業者排出量公表義務づけには県内排出量取引と抱き合わせる等」
知恵を出していただき、実効性のある条例を期待する。
また、7月15日まで、条例へのパブリックコメントを募集中なので、どしどし送ってはいかがか。
なお、今回、三輪さんからは、条例に関する県議会の動向を話して欲しいと依頼がありました。県議会は正直言って、余り関心がないように思える。
木製ガードレールに関して言えば、本音では賛成していても、「田中知事の提案することには、反対しないといけない」と、党や会派の意向という建前論から、減額してしまうのが、今の県議会の状況。
条例が素晴らしいものであればある程、反対される可能性もある。
パブリックコメントを、多くの県民や、関心ある団体に呼びかけて沢山寄せてもらう等、機会あるごとに、条例の必要性を県民に理解してもらって世論を高める事が、県議会に条例を認めさせる事に繋がる。
またたとえば、条例策定途中で、条例検討委員会と県議や商工生活委員との意見交換会を開くことも、有効ではないか。県民の代表と自負している県議には、まず、条例について良い提案をお願いしますともちかける。これを条例の必要性を理解してもらう為のチャンスと考えれば良い。
それから温暖化防止には、企業との連携が欠かせない。
先日信州省エネパトロール隊の企業向け説明会を聞きに出掛け、大変面白かった。
信州省エネパトロール隊は、セイコーエプソンの地球環境推進部の竹村さんが中心になって、諏訪地域の企業と一緒に諏訪省エネパトロール隊をつくり、活動していた。これを先日、長野県と環境保全協会が企業の省エネ活動推進の為に、信州省エネパトロール隊に任命した。今年度は30社の省エネ診断を募集している。これまでにパトロール隊により、診断を受けた企業は県内に44社。製造業に限らず、病院、デパート、旅館、役所等が診断を受けている。
省エネパトロール隊員は、エネルギー管理員やボイラーの技師等の資格を有する人が多く、更に募集中。半日程かけてパトロールを行い、診断をし、診断レポートを作成し、送付する。診断は無料、パトロールはボランティア。企業では診断に従い、会社内の担当者が中心になって、社内の省エネを進める。
省エネパトロールでは、省エネに向けて、すぐに取り組める管理レベルものから、建物の改善や製造設備や工程にまで踏み込んだ診断がなされる。50〜60%もの省エネ効果のあるものは、後者だが、これは施設のリニュアル等をするときでないと出来ない。
管理レベルのものは10〜15%程の省エネ効果しかないが、社員全員で取り組める。全員で取り組めるのはここだけ、でもそれが省エネの基本で、大事なものと竹村さんは話した。
これからの企業は環境への配慮が企業のイメージアップに繋がる。
長野県から始まった、ISO14001の中小企業向けの簡易版と言える、エコアクションながのという第3者による審査・認定制度の取り組みが、環境省に認められ、全国的なエコアクション21認証・登録制度になって行った。エコアクション21の認証がないと親会社からは仕事も来ないという話しを、先日穂高の中小企業から聞いた。
同じように、省エネパトロールの取り組みが日本中に広まれば、省エネしていない企業は仕事も来なくなり、環境への配慮は、企業にとっての死活問題になるはずだ。
本来なら、ドイツのように、国が法や規則によって『温暖化防止対策を行う企業が得をする仕組み』をつくるのが望ましいが、企業優先社会の日本では難しい。
しかし、企業自らがその仕組みを作っていくことを長野県から発信し、県民世論と合わされば、日本の仕組みや制度を変えて行く原動力になるのではないかと思う。
最後に、県内には多くの地球温暖化防止を柱にしたNPOや市民団体が活動を始めている。先日、NPO未来軸の会議にお邪魔した。
環境に少しでも目を向けてもらい、子どももお年寄りも楽しみながら色々な環境問題に気づいてもらいえる仕組みを作るため、地域で考え、行動し、仕事をして行きたいと、つくられた団体だ。長野県や周辺の県に支部を増やすと同時に、全国の同じような団体とも連携しようとしている。
メンバーは温暖化防止に向けた実践活動を、エコトイレや風力・水力発電機器の製造、省エネ住宅や設備の設計・建築などの仕事を通して行っている方たちが多い。でも、儲けというより、まず、持続可能な社会や生活という夢を描き、その中で自分の仕事を活かしてもらいたいと言う思いが強い。
たとえば、木炭バスを走らせたいという計画や、安曇野〜塩尻までを自転車王国にして、所々にネイチャーエナジー・バッテリースタンドを置き、観光客の散策拠点にしたいという計画など、夢の溢れる計画だ。聞いていたら、おもわず、NPOの会員になってしまった。
長野ソフトエネルギー資料室では、このような市民側からの地球温暖化防止の取り組みにに、力を貸していただく活動を精力的に行っていただきたい。