6月定例議会討論

北山早苗
平成19年度長野県一般会計補正予算案に反対する討論 07/07/02

北山議員 本会議録画映像へのリンク(00:49:30〜)

 あおぞらの北山早苗です。
 平成19年度補正予算案の内、浅川治水専用ダム関連の河川費1億7600万円と債務負担行為を認めることは出来ないため、補正予算案には反対です。なお、他の補正予算の内容については、福祉医療、教育などを充実させるものとして評価し、賛成していることを申し添えておきます。

 浅川ダム関連の費用を認められない理由を述べます。
 ダム関連予算について、私は質問で、地滑りを想定した水理模型実験を公開の場で行うべきと提案しましたが、土木部長の答えは、必要はないとのことでした。
 先日、県民の皆さんと奈良県の大滝ダムを視察しました。ダム建設が引き起こした地すべりによって永住移転させられた川上村白屋地区の区長・井坂さんに、800年以上も続いたのに、今や廃墟となった集落を案内いただきました。地質の悪い土地だと住民が訴え続けても、大丈夫と言って行政がダム建設を強行した成れの果てです。井坂さんの、「見てみい、地すべり起きたやろうが、わしらの言うてたとおり起きたやろうが。行政も学者も信用できるかい。」という言葉が大変印象に残りました。

(ここで、壇上にパネルを出して説明。下の「パネル」のリンクをクリックすると画像が表示されます。
 このパネルをご覧下さい。湯谷第2団地から浅川上流を眺めたものです。もし、治水専用ダムが建設されるとこのような光景になります。普段は水がたまらないという治水専用ダムでも、実際にはこのような、とても大きな構造物になります。遠くの山並みはダムで隠れて見えなくなります。
 写真を撮った辺りは、地附山地滑り指定地の中です。こちら側に見えている家と向こう側に見えている家は高台にありますが、下の方を浅川が流れていて、そこにも、家やマンションがあり、住民はダムを頭上に置いて、暮らすことになります。
 もう一枚のパネルをお見せします。これは、さっきの地点から車で3、4分の所にある大型スーパーの屋上から眺めた写真です。ダムが出来た場合、こんな市街地からもダムはとても良く見えることになります。ダムの左に広がっているのは地滑り災害で大勢が亡くなった、地附山地滑りの跡地です。
 これまでダムは、市街地や住宅地からは遠い山奥に建設されることが多かったと思います。ところが、このように、浅川ダムは市街地からもよく見えるほど、多くの人々が暮らす近くに建設されることになります。
 村井知事や土木部は、ダム建設の効果は内水対策ではなく、外水対策と言い、未改修部分の河川整備をしても、治水安全度1/100を満たすだけの流量を確保する河川断面が得られないから、ダムを造ると説明しています。
 しかし、平成16年の台風23号によってもたらされた大雨では、100年確率の日雨量130mmにほぼ匹敵する雨量だったにも関わらず、実際の流量は、富竹水位観測所の記録によると43、8t/sです。これは、同地点のダム調節前流量260tの1/6にすぎません。土木部は、雨の振り方による、時間雨量にすれば少ないためだと説明しますが、1/100確率の雨が10回も20回も降った中のたった1回が、ダム建設で想定される大雨のケースというわけで、それなら1/100確率というのは、一体なんなのか?という大きな疑問が残ります。
 そのようなたぐいまれな外水被害のために、ダムを建設するのか?それとも、1、1m四方しかない穴が詰まり、ダムに水が貯まった所に地滑りが起き、バイオントダムのようなダム津波による被害もありうると考えて、危険なダムは建設しないことを選ぶのか?どちらかの選択です。
 このパネルでもわかるように、人家や市街地のあまりに近くにダム予定地があるため、地滑りによるダム津波などの危険性や壊滅的被害を考えたら、ダムは、やはり造るべきではありません。ダム津波が浅川小学校に押し寄せるのに10分もかかりません。ダムが造られたら、ダムを毎日頭上に見て、雨が降る度に心配するという、不安を抱えたまま、住民は一生暮らし続けることになります。

 河川工学者の今本博健・京大名誉教授は、専門的見地から、「浅川中流部の掘り込み河川が、絶対溢れないとは言えないが、この辺りは扇状地で、地形に勾配があるので、堀込河川から溢れた水は低いほうへと流れる。多くは床下浸水程度と思われる。問題は河川に隣接した住宅である。強い流れが直撃するので、氾濫水が直接家屋にあたらないように塀を配置するなどの工夫が必要である。」と述べています。ダムがなくてもこのような対策で、万が一、先程も言ったように万が一程度の確率で、浅川が溢れるようなことが起きても、大きな被害は防げます。
 そして、なによりも、現在、度々起きている内水被害への対策、ほとんどの住民が望む遊水池や二線堤などを、ダム建設より優先するべきです。多くの反対や疑問の意見を押し切って、ダム建設を優先することは、誤った税金の使われ方であり、これを断じて許すわけには参りません!

 先の一般質問で私は、土木部があんなに県民の頭に刷り込んで来た、「基本高水流量という言葉が、浅川河川整備計画案から消えたのは何故か?」と尋ねました。部長からは答えが貰えず、あとで、土木部職員に再度尋ねたら、「国からの指導で抜いた」と答えました。「何故抜いたのか?」との問いには「数値が示してあれば良い」と。では、その数値とは何なのでしょう。これでは、ダムを造るための数値と言われても仕方ないのではないですか?
 基本高水のこと一つとっても、こんないい加減な説明です。このような説明で県民の貴重な税金を使うことは、許されません。村井知事は、先日、議会終了後の記者会見で、十分な説明はしているとおっしゃいましたが、全く不十分です。議会の皆様は、県民の負託に応えるためにも、このような状況の中で、浅川治水専用ダム関連の河川費を認めることのないよう、お願い申し上げ、反対討論といたします。